
はじめに:なぜ「オリジナル業務管理システム」が必要なのか?
こんにちは、フィアクレーのぶーちゃんです。
前回の記事で、Notionのデータベースの基本はマスターいただけたかと思います。
しかし、業務効率化の「最高傑作」は、既製のテンプレートを使うだけでは生まれません。
料理で例えるなら、市販のルー(テンプレート)も便利ですが、最高の味(最高の効率)は、自分で調味料(機能)を加え、具材同士(情報)を絡ませることで生まれます。
この応用編で目指すのは、プロジェクトの進捗、タスク、関連資料が一元管理され、情報が自動で連携する、「生きているシステム」への進化です。
1. データベース連携:情報同士をつなぐ「リレーション」機能の理解と実践
Notionで「システム」を作るための核となるのが、このリレーション(Relation)機能です。
これは、異なるデータベースを「線」で結びつけ、情報の関連性を持たせる役割を果たします。
1-1. リレーションの基本:2つのデータベースを「線」で結ぶ
あなたは現在、以下の2つのデータベース(DB)を持っているとします。
- プロジェクトDB:案件名、納期、クライアントなどを管理。
- タスクDB:具体的な作業内容、担当者、期限などを管理。
通常、タスクDBの各タスクに「どのプロジェクトに属するか」を手入力するのは大変です。
ここでリレーションを使います。
- タスクDBに新しいプロパティを追加し、タイプを「Relation」に設定します。
- 連携させたいDBとして「プロジェクトDB」を選択します。
- これで、タスクのプロパティから、プロジェクトDBに登録されている任意の案件名を選ぶことができるようになり、両者が紐づきます。
この紐づけにより、「このタスクは、あのプロジェクトの一部だ」という情報がNotion内で明確に認識されるようになります。
2. データ集約の魔術:「ロールアップ」機能で情報を「集計」する
リレーションでデータベース同士が結びついたら、次にその結びつきを利用して情報を集約・計算します。
これがロールアップ機能です。
ロールアップは、結びついた先のDBのデータを取り出し、「集計」して表示する魔術師のような機能です。
2-1. ロールアップの基本構造:辿って、計算する
ロールアップを設定する際は、次の3ステップを踏みます。
- プロパティを追加:プロジェクトDBに新しいプロパティを追加し、タイプを「Rollup」に設定。
- リレーションを選択:どのリレーション(どのタスクDBとのつながり)を辿るかを選択。
- 集計するプロパティを選択:辿り着いたタスクDBから、どのプロパティ(例:完了チェックボックス、作業時間)の値を集計するかを選択。
- 計算方法を選択:どのように集計するか(例:Count allで関連タスクの数を数える、Sunで合計を出す)を選択。
2-2. 実践:プロジェクト進捗率の自動計算
システム構築におけるロールアップの最大の応用例は、「プロジェクトの進捗率を自動で計算」させることです。
- タスクDBに準備: タスクDBに「完了」という名のチェックボックス(Checkbox)プロパティを追加します。
- プロジェクトDBにRollupを設定:
- リレーション:「タスクDB」とのリレーションを選択。
- プロパティ:「完了」チェックボックスを選択。
- 計算方法:「Percent checked」(チェックされた項目の割合)を選択。
これで、プロジェクトDBのページを開くと、紐づいているタスクの完了状況に応じて、プロジェクト全体の進捗率(パーセンテージ)が自動で表示されます!
これが「システム」感を生む、非常に強力な機能なのです。
3. 関数(Formula)の応用:自動化と条件分岐
リレーションとロールアップでデータが集約できたら、次はNotionの関数 (Formula) を使って、そのデータに「知性」を与えます。
関数は、特定の条件に基づいて自動で結果を表示させる機能で、Notionの「プログラミング」部分です。
3-1. IF文によるステータスの自動判定
プロジェクト管理で一番手動になりがちなのが「この案件、今、ヤバい?順調?」の判断です。
これを関数で自動化しましょう。
【実現したいこと】
- プロジェクトの納期が迫っていて、かつ進捗率($\text{Rollup}$で作成)が100%でなければ、「🚨 遅延」と警告を表示させる。
- それ以外の場合は「✅ 順調」と表示させる。
【関数の例】
コード スニペット
if(and(prop(“納期”) < now(), prop(“進捗率”) < 1), “🚨 遅延”, “✅ 順調”)
関数要素 | 意味 |
prop(“期限”) < now() | 期限が現在時刻(now())より過去か?(=期限切れか?) |
prop(“進捗率”) < 1 | 進捗率が100%未満(未完了) |
and(...) | 両方の条件をまとめる |
“🚨 遅延” | 両方の条件が真の場合に表示する値 |
“✅ 順調” | それ以外の場合に表示する値 |
このように関数を使うことで、プロパティの値を参照して、自動で「警告」や「ステータス」を表示する、あなただけの管理システムが完成します。
4. 仕上げ:ビューの使い分けと「ダッシュボード」の構築
最後に、作成したシステムを快適に操作するための「操作画面(ダッシュボード)」を構築します。
4-1. リンクドビュー(Linked view)で1ページに集約
Notionのリンクドビュー機能を使えば、作成したデータベースの特定の「表示形式(ビュー)」だけを、別の任意のページに埋め込むことができます。
【ダッシュボードの構築例】
- 「今日の作業ダッシュボード」という名の新しいページを作成。
- そのページで「/linked」と入力し、「リンクドビューの作成」を選択。
- 埋め込みたいタスクDBを選択し、表示形式(ビュー)を「リスト」に変更。
- フィルターを設定し、「担当者:自分」かつ「期限:今日まで」のタスクのみを表示させる。
- 同様に、プロジェクトDBの「進捗率が100%未満」のプロジェクトだけを表示したギャラリービューも埋め込む。
これにより、トップページを開くだけで、「今、自分がやるべきこと」と「全体的な進捗状況」が一目で把握できる、究極の一元管理画面が完成します。
まとめ
あなただけの「業務効率化システム」の完成!
リレーション、ロールアップ、関数の3つの技術を組み合わせることで、手動での確認作業や情報収集の手間が劇的に減り、情報の抜け漏れも防止できます。
これが、Notionで「自分だけのオリジナル業務管理システム」を作るということです。
この応用編で習得した技術は、仕事だけでなく、あなたのプライベートの効率化にもそのまま応用できます。
次回の記事では、この技術を使って、ぶーちゃんが普段行っている「献立管理と買い物リストの自動連携」や「読書ノートの効率化」など、もっと身近で楽しいNotion活用術をご紹介しますね!
ぜひ、ご期待ください!